実用に徹した軍用拳銃
　一般にトカレフと呼ばれている拳銃の正式な名称はＴＴモデル１９３０またはその改良型のＴＴモデル１９３３である。
　トカレフは１９３０年に制式になった旧ソビエトの自動拳銃。デザインはブローニング（コルト）のメカニズムを参考にしながら、製造コスト（作業工程と資源の両方）を押さえるため各部の単純化が図られている。（そのために通常の安全装置まで省かれて、ハンマーのハーフ・コック・ノッチのみが唯一の安全装置となっている）しかし、単に機構を省略するだけではなくハンマー・グループをブロック化する等、整備や修理が迅速に行われるように工夫されていることもトカレフの特徴である。
　使用カートリッジは７．６２ミリ・トカレフで、これは７．６３ミリ・モーゼルと同じサイズである。帝政ロシア時代に警察や特殊兵科用としてモーゼル・ミリタリーとシェワルツローゼＭ１８９８を輸入していたため、大量の７．６３ミリ・モーゼル弾のストックがあったというのが採用の理由である。ちなみに７．６３ミリ・モーゼル弾は３７５マグナム弾が登場するまではハンドガン・カートリッジ中最速の超高速弾であった。
　余談だが、日本に密輸されているトカレフの多くは中国でコピーされた５１式拳銃または５４式拳銃（ノーリンコＴ５４）である。
共産圏のジンクス
　冷戦時代には世界を２分する一方の大国、ソ連の制式拳銃でそれなりに有名な銃であるが、共産圏の銃は日本ではあまり人気がないのか、トカレフのトイガンは以外と少ない。金属製モデルガンは中田商店から発売されていたが５２年規制によって市場から消えている。その後１９９０年代になってプラスチック・モデルガンを発売したのはハドソンであった。さらにハドソンはブローバック・ガスガンも発売した。
　
NAKATA/ナカタ
ホルスターは人民解放軍実物。
　
製造・販売／中田商店
商品名／TOKAREV TT-33（トカレフ TT-33）
種別／モデルガン　主な材質／亜鉛合金　作動方式／スタンダード
　
　中田商店のトカレフはＴＴモデル１９３３の初期型、スライドの指かけがモデル１９３０と同じタイプをモデルアップしたものだ。スタンダード・モデルなのでデフォルメもほとんどなく内部メカも実銃に忠実、ショート・リコイルも再現されている。
HUDSON/ハドソン
写真はヘビーウェイト・モデル。ホルスターは人民解放軍実物。
　
製造・販売／ハドソン産業
商品名／TOKAREV TT-33（トカレフ TT-33）
種別／モデルガン　主な材質／プラスチック（ＡＢＳ樹脂またはヘビーウェイト樹脂）　作動方式／ブローバック

写真はヘビーウェイト・モデル		 　
　ハドソンも中田商店のトカレフと同じモデル１９３３の初期型をモデルアップしている。はじめに発売されたＡＢＳモデルはヒケが目立ち、ややシャープさに欠けていたが、その後発売されたヘビーウェイト・モデルはシャープな仕上がりで小柄で精悍な軍用銃のイメージをうまく再現している。仕上げのバリエーションとしてはＡＢＳ、ヘビーウェイトの他にシルバー（メッキ）がある。

ＡＢＳモデル（上）とヘビーウェイトモデル（下）
HUDSON/ハドソン
　
製造・販売／ハドソン産業
商品名／TOKAREV TT-33（トカレフ TT-33）
種別／エアーガン　主な材質／プラスチック（ヘビーウェイト樹脂）　作動方式／ガス-ブローバック
　
　ハドソンのブローバック・バスガンはモデルガン譲りのリアルな外見のエアーガンとなった。ブローバック・エンジンはマルゼンの協力によって開発されたもの。材質は「ハイパー・プラスチック」と呼ばれる硬質感のあるヘビーウェイト樹脂である。外見は同社のモデルガンと区別がつかないほどだが、一目でわかる違いはスライドにあるブリーチを止めるピンが省略されていること。その他フロントとリアのサイトが金属の別パーツとなっている（モデルガンは一体成形）こととエキストラクターがモールド（モデルガンはライブ）表現となっていることである。ＡＳＧＫの規定によるセフティは、スライドストップ・レバーを押し下げることで機能する。
　その後、作動性に問題のあった初期型を全面改修したニューモデル（タイプＢ）がハドソンより発売された。ブローバックメカを全面手直しマニュアル・セフティがグリップに新設され、フレームとスライドに採用されていたハイパー・プラスチックは通常のABS樹脂となり重量が軽くなっている。（このページのトカレフはすべて初期型）
ACCESSORIES／共通アクセサリー
人民解放軍実物ホルスター

材質は少々安っぽいが、ミンクオイル等で手入れしてやるとそれなりに風格が出てくる。		 　　
　
製造／メーカー不明（中華人民共和国製）
商品名／人民解放軍実物ホルスター（中田商店）
種別／ホルスター　主な材質／革（牛革？）
　中国人民解放軍の実物ホルスター。
　革の材質はやや安っぽいが、作りはしっかりとしている。内側には布が張ってあるのでプラスチックモデルガンを入れても傷が付きにくい。マガジン・ポーチらしき物が付属しているが、短すぎてマガジンを入れることはできない。（何に使うのかは不明）