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| マレーの虎も愛用、信頼のモデル１９１０ |
| ジョン・ブローニングがベルギーのＦＮ（ファブリック・ナショナル）社に招かれて設計した傑作小型拳銃である。シンプルで信頼性の高いメカニズムと飽きのこないデザインで、製造開始の１９１２年から現在までほぼ当時のスタイルのまま生産され続けているマスターピースである。日本でも拳銃が自由販売だった戦前に数多く輸入された人気モデルで、単に「ブローニング」または「ブローニング拳銃」というとたいていの場合このモデル１９１０を指している。 旧日本軍でも将兵の多くは、故障の多い南部十四年式を嫌って自費で外国製の小型拳銃を購入し戦地に赴任していった（下士官は十四年式が支給されたが将校の拳銃購入は自費）。中でもブローニング・モデル１９１０は最も人気のあったモデルで、マレーの虎こと山下将軍も愛用者のひとりだったという。偵察に向かう部下の九四式を取り上げて自分のモデル１９１０を持たせたという話も伝わっている。 モデル１９１０は７連発の３２口径（．３２ＡＣＰ、７．６５mm×１７）と６連発の３８口径（．３８０ＡＣＰ、９mm×１７、別名９ミリショート）とがあり、どちらも銃身と弾倉を交換することによって両方の実包を使用することができる。メｌカニズムはシンプルなストレート・ブローバックで、撃発はストライカー方式によるものである。安全装置はフレームのマニュアル・セフティの他に、グリップ・セフティ、マガジン・セフティが装備されている。 |
| 「ブローニングは背中に感じやすいんだ」 |
| 昔、日本映画でも警察官の立ち会いのもとに実銃を使って撮影できた時代があった。昭和２２年（１９４７年）の東宝映画「銀嶺の果て」（谷口千吉監督）でも実銃のモデル１９１０等が使われていて、発砲シーンは単発（空砲なので実銃はブローバック作動しない）ながら、銃の分解掃除等のシーンではしっかり内部パーツまで確認できた。 アニメでモデル１９１０を使う最も有名なキャラクターといえば「ルパン３世」の峰不二子だろう。ハードボイルドタッチで人気の高いファースト・シリーズでは、背後からブローニングを構える不二子に対して「よしなよ冗談は、ブローニングは背中に感じやすいんだ」という科白をルパンに言わせている。 |
| トイガンでも人気のモデル１９１０ |
| ブローニング・モデル１９１０は昔から日本人になじみの深い銃であるせいか、金属モデルガンの時代からＭＧＣやＣＭＣ、六研といった有名メーカーはたいてい製品化していたのだが、５２年の銃刀法改正によって銃身分離タイプの金属モデルガンの販売が禁止されたために市場からすべて消えていった。 その後のモデル１９１０のトイガンとしては、プラスチック・モデルガンではコクサイとマルシン、（スライド固定）ガスガンはレプリカとその再販版であるマルシン、マニュアル・コック・タイプ・エアガンはアカデミーの４種類が製品化されている。 |
| KOKUSAI/コクサイ | |
 純正オプションの専用サイレンサーとフィンガーレスト付きマガジンを装着 |
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| 製造・販売／国際産業 商品名／BROWNING M1910 .380 CAL.（ブローニング M1910） 種別／モデルガン 主な材質／プラスチック（ＡＢＳ樹脂） 作動方式／ブローバック |
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| 金属モデルガンのブローニング・モデル１９１０がモデルガン規制によって消えた後に、Ｍ１９１０銃をプラスチックでモデル化したのはコクサイ（国際産業）だった。このモデルが発売された当時（１９８０年前後）は、（当時唯一のブローバックシステムだったＭＧＣのオープン・デトネーターに対抗するように）マルシンがカート内発火タイプのブローバックシステム「プラグファイヤー・カートリッジ」を発表したのをきっかけに、各社が競って新しいブローバックシステムを開発していた時期であった。このＭ１９１０はコクサイが開発した「スピン・ジェット・カートリッジ」という（マルシンのものに似た）カート内発火方式のブローバックシステムが搭載された初めてのモデルである。 コクサイの「スピン・ジェット・カートリッジ」は撃発音や発射炎は他社のシステムに比べると少ないものの、パワフルに作動し確実にブローバックしてくれた。反動もかなり強めなので耐久性が気になったが以外と丈夫だった。（私の買った個体は大丈夫だったが、フレーム後部にひび割れが起こった例もあったようだ） コクサイのブローニングＭ１９１０は、ブラックモデル（ブルーメタル・フィニッシュ）とシルバーモデル（ニッケル・フィニッシュ）が発売されていたが、ブラックモデルの方はプラスチック（ＡＢＳ）の本体に金属メッキをかけ、それに黒染めをした「メタルフィニッシュ」という表面処理を行った初めてのモデルである。別売の純正アクセサリーとしては、サイレンサー、フィンガーレスト付きマガジン、木製グリップ等が発売されていた。 |
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 写真のホルスターはメーカー不詳（調査中） |
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 コクサイは戦後アメリカのブローニングアームズで販売されているタイプをモデル化している。 |
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| MARUSHIN/マルシン | |
 写真はメタルフィニッシュモデル。ホルスターはキットのおまけに付いていたインサイド・ホルスター |
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| 製造・販売／マルシン工業 商品名／FN BROWNING M1910（FN ブローニング M1910） 種別／モデルガン 主な材質／プラスチック（ＡＢＳ樹脂） 作動方式／ブローバック |
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| コクサイがブローニング・ブランドで発売されたブローニング380オート・1955年モデルをモデルアップしたのに対し、マルシンのモデル１９１０はグリップにＦＮマークのついた（日本人になじみの深い）オリジナル・タイプであった。ノーマルＡＢＳの他にコクサイと同様のメタルフィニッシュ、シルバー（ニッケル）フィニッシュのバリエーションと安価なキットも発売された。（後にヘビーウェイト・モデルも発売されている） 発火性能はさすがプラグファイヤー・カート、と言いたいところだが、５ミリパワーキャップではキックが強すぎ、撃っているうちにフレームから銃身が外れてしまうことがよく起こった。このため、しばらくしてマルシンでは同じ５ミリキャップでもパワーを若干落とした「Ｍ１９１０専用プラグファイヤー・キャップ」を発売していた。 純正オプションパーツとして木製グリップが発売されている。 |
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| コクサイとマルシンの比較 | |
 コクサイ（左）の１９１０は直線のエッジが立ってシャープな印象、マルシンは曲線が柔らかで女性的な印象。同じモデル１９１０を製品化してもコクサイとマルシンではイメージの解釈が異なっているのがおもしろい。 |
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 コクサイ（左）はインナーシャーシが完全に隠れているが、マルシンは強度を確保するために後部が露出しているので実銃にはないラインが出てしまっている。 |
 両モデルとも実銃に準じたリアルな内部構成である。コクサイ（右）はインナーシャーシのバレルとかみ合うラグの部分に、衝撃吸収用の樹脂パーツが埋め込まれている。これが高い耐久性の秘密。 |
